219: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/06/16(金) 23:20:17.81 ID:xCyGumQ8O
アロエ「……シンオウの伝承には、他の地方と毛色の異なる死生観が根付いている」
アロエ「ある特定の場に死後の世界との接点を見出し、」
アロエ「生と死の変化に可逆性を暗示する記述が多い」
アロエ「人間とポケモンの境界を曖昧に捉える点でも興味深く……」
アロエ「……読むのは、ここでいいの?」
アロエ「……また様々な理由から調査が遅々として進まないが」
アロエ「この伝承で頻出するのは、『おくりのいずみ』、『もどりのどうくつ』、」
アロエ「そして、ごく僅かな記述のみが確認される……」
ある部分に差し掛かったところで、ヨノワールの声が空気を震わせた。
アロエ「もどりのどうくつ?」
ヨノワールが大きく頷く。
その言葉に聞き覚えがあるということなのだろうか。
アロエの脇では、背筋を伸ばしてダゲキがパネルを見ている。
アロエ「もどりのどうくつっていったら、シンオウでもかなり奥深いというか」
アロエ「あんまり人が出入りするような場所じゃなかったと思うけど……」
アロエ「じゃあキミは、そこから来たの?」
もう一度、目を細めて頷く。
ダゲキが不思議そうな顔で、ヨノワールを見上げている。
彼にとっても、今の話は初耳なのだろうか。
アロエ「シンオウから、このイッシュに、ひとりで?」
今度は首を横に振る。
アロエ「じゃあ、トレーナーと一緒にかい?」
アロエ「……あれ、でもキミ、その……トレーナーに捨てられた……んだっけ?」
ヨノワールは慌てて両手を振り、否定するしぐさを見せた。
ぶうん、ぶうんと低い振動が地面を這っている。
『捨てられたわけではなく、』と懸命に説明してくれているのは、かろうじてわかった。
残念なことに、何を言わんとしているのか、正確なところはよくわからない。
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20