214: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/06/16(金) 23:11:07.36 ID:xCyGumQ8O
ぼきっ、と湿った音がした。
見ると、ダゲキが赤いきのみを半分に折り、断面から匂いを嗅いでいる。
だが手でもてあそぶばかりで、なかなか口に入れようとしない。
ダゲキ(じゃあ、もう いわない)
彼は顎を突き出して、残念そうに目を伏せた。
そういう反応も、そのしぐさも、彼らしくないといえば彼らしくない。
ダゲキ(ぼくは あのひと、……いい ニンゲンだ、って おもった)
ミュウツー『そうか』
ダゲキ(とじこめないし、どならないし、ぶたない)
ミュウツー『それは、そうだな』
ミュウツー『お前に対して、お前が受けてきたような仕打ちをしたニンゲンは、たしかに“わるいニンゲン”だ』
ミュウツー『もちろん、そこにいるニンゲンの女も、当然だが同じニンゲンだ』
ダゲキ(でも、それは べつのニンゲンだよ)
ミュウツー『……そうだ』
ミュウツー『言われてみれば、その通りだ』
ミュウツー『だが、あのレンジャーも“べつのニンゲン”だ』
ダゲキ(……そうだけど)
なんだか腑に落ちないというか、不本意そうな顔だ。
あのレンジャーについては、あまり触れてほしくなかったのかもしれない。
彼らの関係が単純明快なものではないことくらい、ミュウツーにもわかっている。
ダゲキ(……ヨノワールは、きょう とても、うれしそう)
ダゲキ(ぼくも たのしい)
ダゲキ(ジュプトルも、きにいった、みたい)
ミュウツー『それなら……』
彼はあからさまに話を逸らし、ふたたびミュウツーを見上げた。
黒く大きな目が、蝋燭の暖色をちらつかせている。
ダゲキ(ぼくたちは、きみに か、カンシャ、してるよ)
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20