ミュウツー『……これは、逆襲だ』 第三幕
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213: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/06/16(金) 23:08:41.18 ID:xCyGumQ8O

手に持っていたきのみを、言葉の勢いに任せて半分ほど齧る。

より強くなった甘い香りと、それに相応しい強い甘味が口の中に広がった。

思ったより歯応えがある。

ただひたすら、粘り気があるような気さえしてしまうほど甘い。

一方で、他の風味はまったく感じられない。

酸味が少しあればなおよかったが、これはこれで嫌いではない。


ミュウツー『……なかなか悪くないな』

ミュウツー『ああ、今のは、本当に“まずくない”という意味だ』

ダゲキ(……ニンゲンのことば、むずかしいね)

ダゲキ(『わるくない』は、『いい』んだ……うん、わかった)


眉間に皺を寄せ、ダゲキはそう頭の中で呟く。

ミュウツーと同じように、抱えてきたバスケットからきのみを取り出した。

赤く、短い棒にでこぼこがついたような形をしている。

ミュウツーも見たことのないきのみだった。


ダゲキは片方の端をおそるおそる持ち、くるくる回す。

彼なりに、未知のきのみを観察しているように見えた。


ミュウツー『それで、そっちはどうなんだ』

ダゲキ(まだ たべてない)

ミュウツー『そうじゃない』

ダゲキ(うん)


そう言いながら、ダゲキは顔をきのみに向けたまま、目だけでミュウツーを見た。

わかっていて、わざとああ言ったということらしい。

そこまで思い至って納得したものの、ミュウツーは驚いていた。

はたして彼は、そんな冗談を言う奴だっただろうか。


ミュウツー『お前、少し変わったな』

ダゲキ(そうかな)

ダゲキ(どんなふうに?)

ミュウツー『……なんというか』

ミュウツー『今のは……あまりお前らしくない、ような気がする』




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