211: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/06/16(金) 23:04:54.12 ID:xCyGumQ8O
するとダゲキはわずかに表情をこわばらせた。
口を開こうとしたが寸前で今の状況を思い出したらしく、慌てて閉じる。
ミュウツーは仕方なく、伸ばしかけていた手で自身の頭を指した。
すると、彼は合点のいった顔で頷いた。
ミュウツーは、こっそりと人間の女の様子を盗み見る。
ミュウツー(……今のは、少し危険だったか)
ミュウツー(もし、今のやりとりの意味を正確に理解されたらまずいな)
ミュウツー(それはそのまま、こいつらの特異性をニンゲンに知られることにもなるか)
ミュウツー(これからは、もっとずっと慎重でなければいけない)
後悔にも似た、居心地の悪い思いが腹の中で膨らんでいく。
最近、そんな感情に囚われてばかりだ。
“ああすればよかった、こうすればよかった”。
“あんなこと、しなければよかった”。
“本当にそうすべきだったのだろうか”。
ダゲキ(ぼくが、わるい?)
自分が何か咎められていると思ったのか、彼の表情は硬い。
ミュウツー『いや……そういうことではなくてな』
罪悪感の口をむりやり塞ぐ。
ミュウツーはダゲキの持つバスケットから、改めてきのみをひとつ拾い上げた。
ミュウツー『お前に運ばせて申し訳ない、手間をかけさせてすまない、と』
ミュウツー『そういうことを言いたいだけだ』
ダゲキ(……そうなんだ)
ほっとした顔で、ダゲキが緊張を緩めた。
ミュウツー『感謝はしているぞ』
ダゲキ(うん、ありがとう)
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