179: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2017/03/28(火) 00:40:00.97 ID:n9gHiMCwO
ミュウツー『お前の膝で眠そうにしているそいつは、今日を楽しみにしていたのだ』
ミュウツー『普段のそいつからは想像しにくいのが、正直なところだが』
アロエ「そうなんだ」
ミュウツー『……私にとっても、少し予想外だった』
ミュウツー『そいつは、いやそいつ“も”、乗り気にはならないと思っていたからな』
ミュウツー『まあ、あそこで何か書いているあのふたりも、それは同じだ』
ミュウツー『いつもの奴ららしくないとさえ言える』
ミュウツー『ただ、彼らはみな、今日を楽しみにしていたのだ』
ミュウツー『それだけは本当だと思う』
ミュウツー『……いいことか悪いことかは、わからないが』
アロエ(なにもそんな言い方)
そう言いかけて、アロエは引っかかった。
相手の口振りに、ほんのわずかだが変化が感じられる。
境界線を少しだけずらすような、微妙な立ち位置の変化だ。
ひょっとすると最後のくだりは、自分にしか聞こえていないのではないだろうか。
特に根拠はなかった。
だが予想を裏付けるように、新しい生徒たちは、この会話に何の反応を示さない。
これほど自分たちが話題にされているというのに。
アロエ(楽しみしててくれたのは嬉しいけど、そんな言い方はないんじゃない?)
アロエはそう思い至り、心の中だけで返答した。
幽霊をまっすぐ見つめる。
シーツの端が鋭く揺れた。
ミュウツー『……どうして気づいた』
頭に響く声に、驚きが滲んでいる。
アロエの予想は当たっていたらしい。
シーツの陰で、開かれていた本のページがぱらぱらと動く。
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20