150: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/10/24(月) 23:54:59.68 ID:GKUQ56mXo
ミュウツーは小さく唸った。
アロエと名乗る人間の女は、ヨノワールが言うように『いいひと』ではあるだろう。
何度か顔を合わせているミュウツーは、その点では実感を持っていた。
姿形か、物腰か、あるいは話しぶりやその中身か。
自分がなに見てそう判断したのか、自分でも説明はできないが。
ミュウツー『“きっと”、悪いニンゲンではない』
ミュウツー『一定の信頼は置いていい“はずだ”』
ミュウツー『うまく言えないが、私はそう“思う”』
ヨノワール「……それは、なんとなく わかります」
ミュウツー『だが、だからといって手の内を全て明かせばいいというものではない』
ミュウツー『他にも理由はあるが……』
ミュウツー『信頼を置くというのは、そういう部分で示すことではないと思うし』
ミュウツー『全てを詳らかにしないからといって、信頼していないことにはならない……と思う』
ミュウツー『わ……わかるか?』
いつの間にか、彼らの顔がよく見える。
目が慣れてきたからだろうか、かろうじて表情がわかるまでになっていた。
ダゲキ「……わかった」
独り言を呟くように、ダゲキが口を開いた。
ヨノワールほどではないが大きな目で、こちらをまっすぐ見ている。
ダゲキ「きみが いうこと、ぼくは わかった」
ダゲキ「ぼくも、あのひとに、な……なにも いわない から」
ミュウツー『あのレンジャーか』
ダゲキ「チュリネにも、いわない こと、たくさん ある」
ミュウツー『そうだったな』
ミュウツー『……』
全員の顔に一通り目を向ける。
それ以上、誰かが文句や抗議を示してくることはなかった。
ミュウツーは再び空中に浮かび、全員を連れて静かに移動し始めた。
小柄な方のふたりが身体を強張らせた気配はあったが、それだけだ。
自分が動きを関知していないヨノワールに、行く先を示す。
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