148: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/10/24(月) 23:50:54.15 ID:GKUQ56mXo
ミュウツー『たしかにここは、いわゆる住居ではない』
ミュウツーは意を決して振り返った。
建造物の屋根の部分、濃い色の足場に、友人たちが腰を下ろしている。
ミュウツーが振り返ったことに気づくと、彼らは不安そうにこちらを見上げた。
ミュウツー(この頭数だったが、誰にも見られず辿り着けたな)
ミュウツー(このまま大きな問題もなく終わればいいが……)
深く息を吐きながら、ミュウツーは黒い空を見上げた。
いつになく緊張しているようだ。
博物館の屋上は静まり返っていて、当然ながら人間の気配はなかった。
見えるのは黒っぽい屋根、白い建造物の壁、民家の微かな灯りとその奥に佇む真っ黒な森だけだ。
改めてぐるりと見渡しても、監視の目となるものはなさそうだ。
ミュウツー(ここまではあの女の言った通りか)
ミュウツー(空から侵入者が来ることは、やはり想定していないということだな)
『展示物や貴重な資料がある部屋はさておき、全体ではそこまで警備も厳しくはない』。
『特にキミみたいに、空から来る泥棒を見越した警備はしてないしね』。
ホントは部外者に教えちゃマズいんだけど、と前置きをしながら彼女はそう言った。
自分のような物好きと夜間警備を除けば、夜は無人も同然だ、と彼女は笑いながら付け足していた。
今のところ、彼女が寄越した情報に嘘はないようだ。
ミュウツー『いいか、いつものように喋っていいのは、ここまでだ』
『声』の届く範囲を絞り、ミュウツーは友人たちの反応を待った。
ミュウツーの警告に、ヨノワールが真っ先に身を縮める。
黄色く裂けた巨大な口にも、ただの模様にも見える腹部を両手で抑え込む。
あれは本当に発声器官なのだろうか。
ヨノワールなりの冗談なのかもしれないが、いまいちミュウツーにも判じかねた。
その姿を見て、ダゲキも慌てて口を両手で覆う。
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