140: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/10/24(月) 23:31:44.55 ID:GKUQ56mXo
イーブイ「どおして?」
ダゲキ「チュリネが いくのは、……よくない と、おもう」
イーブイ「……どお して?」
『自分で説得する』と宣言したわりに、彼の返事は歯切れが悪い。
ミュウツー(助けてやっても構わないんだが)
ミュウツー(もう少しくらい、自力で頑張ってもらおう)
ダゲキ「チュリネは……」
ダゲキ「ニンゲンの こと、ぜんぜん しらない」
イーブイ「うん」
ダゲキ「よくない ニンゲンが、たくさん いるのも わからない」
ダゲキ「なんかい いっても、わからない」
イーブイ「だって、チュリネちゃん、しらないもん」
ダゲキ「うん」
イーブイ「いつも、もり から、みるだけ だよ」
イーブイ「いつも、すごく がまん してるよ」
ダゲキ「だから こわいことも、わからない」
ミュウツーは、ふたりのたどたどしい会話に耳を傾けながら、空を見上げた。
空の赤みはほとんど消え、まばらに星が輝き始めている。
冬になれば、もっと寒くなれば、あの星はもっと数が増えるそうだ。
それは、さぞ壮観だろうと思う。
『もっと寒い』とは、どんな“感じ”なのだろうか。
ミュウツー(『約束の時間』というものがあるわけではないが)
ミュウツー(いつもの時間より遅い理由を、あの人間に釈明しなければならないな)
空の片隅で、乳白色の月がささやかに光っている。
ただの弱い反射光なのに、毛ほどの細い針で目を刺されているような気分になった。
ミュウツーは痩せた月から顔をそむけ、残像に顔を顰めて目を閉じる。
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