139: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/10/24(月) 23:29:44.08 ID:GKUQ56mXo
ミュウツー『それは、こいつに尋いた方がいい』
ミュウツーはそう言いながら、ダゲキを顎でしゃくって示した。
チュリネについては、やはり呻き声の主に決定権があるように思う。
ダゲキはミュウツーを見上げ、恨めしそうな表情を浮かべた。
目が合うと眉間の皺をいっそう深くし、何か言いたそうな顔を作ってみせる。
まずいきのみでも食べさせられたあとのようだ。
ミュウツー(そんな顔になる気持ちも、まあわからないではない)
ミュウツー(チュリネがこれを知ったら、さぞ面倒だろうからな)
ミュウツー(今回は運よく、奴に気付かれずにすんだが)
ミュウツー(……毎回こんなふうに上手くいくとは限るまい)
はたしてどんな賑やかな声で不義理をなじり、何を言い出すだろうか。
彼でなくとも、それは容易に想像がついた。
だからこそ、この小旅行は一貫して彼女に伏せられていたのだ。
もっとも、気付かれてしまった場合には自分で説得する、と豪語したのも彼自身だったが。
ダゲキ「ううん……えっと」
案の定、普段よりずっと沈んだ声でダゲキが応じた。
もう少しで、彼女の名が出ないまま出発できそうだったのに。
そんなふうに言いたげな声だった。
イーブイ「チュリネちゃん、いきたい いうよ」
ダゲキ「わ、わかってる」
イーブイ「でも、ないしょ?」
ダゲキが黙って頷く。
イーブイは腑に落ちない顔を見せ、唸りながら前脚で鼻先を擦った。
背後から、しゃりしゃりと草を踏む音が聞こえる。
ジュプトルが地面に飛び降りたに違いない。
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