138: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/10/24(月) 23:27:17.92 ID:GKUQ56mXo
辛抱強く待つミュウツーの目の前で、イーブイはまだ首をひねり唸っていた。
ミュウツー『……これでも一応、相手のある約束なんだが』
イーブイ「う、うん」
イーブイなりに、続きを口にするべく努力しているのはわかっている。
その上、彼は先を促され焦っていた。
なかなか話が終わらないせいで、友人たちが振り返り始めたようだ。
視界と意識の隅に、ごそごそ動く気配があった。
視線が集まったためか、イーブイは余計に慌てる。
イーブイ「えっと ね、あのね」
イーブイ「……い、いわないの、いいの?」
ミュウツー『言う? 誰に? ……なにを?』
イーブイは不愉快そうに耳を伏せた。
彼も彼なりに苛立っているらしい。
聞き返されたことにではなく、うまく言えないことに、だとミュウツーは解釈した。
ミュウツーは、我慢強く『続き』を待つ。
自分にしては驚くべき忍耐力だ、と自分でも思う。
不思議と腹も立たない。
イーブイ「うん、と、……えっと、ないしょ なの?」
イーブイ「チュリネちゃん、に」
ミュウツー『……ああ』
ようやく聞こえた『続き』に息をつく。
ずいぶんと懐かしい名前を聞いたような気がした。
自分の溜め息に紛れて、誰かの呻き声も耳をかすめた。
ミュウツーは思わず苦笑した。
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