122: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/08/21(日) 01:02:17.83 ID:HsthgRdno
少しきょろきょろしてから、アクロマは話を続ける。
アクロマ『あ……いえ、それは、まあ、いいのです』
アクロマ『いずれにせよ、あれはミュウツーではないわけですからね』
ゲーチス「ですから、あれはもう、あなたの好きにしていただいて結構ですよ」
アクロマ『その言葉を待っていました』
ゲーチス「こちらが得られる情報は、もう十分に引き出せたと思いますからね」
ゲーチス「納得のいくまで調べるにせよ、何かしらの実験に使うにせよ」
アクロマ『わたくしひとりで、個人的に調べていいのですね?』
ゲーチス「ええ」
ゲーチス「何かしら、『戦力』として期待できる方向に成果があると、より望ましいですが」
ゲーチス「まあ、そこはお任せします」
アクロマ『ありがとうございます』
そう言いながら、アクロマはちらりと画面外に目を向けた。
彼は、そこにある何かを値踏みするように眺めている。
ゲーチスには、彼が何を見ているのか知ることはできない。
が、予想はついた。
あの目に浮かぶ狂気じみた輝きは、強い好奇心に違いなかった。
普通の世界では満たされない好奇心。
彼は『能力を引き出す』などと聞こえよく嘯くが、手段を選ぶわけでもない。
非人道的な方法であっても一向に構わないと普段から臆面もなく言う。
だから、彼はこうして自分の計画に嬉々として手を貸すのだ。
ゲーチスにとって、その方針は大いに結構である。
?????「ゲーチス様」
不意に、ぼそぼそとした声が頭上で響いた。
首筋に雨粒が入り込んだときのような、いやな気分になる声だ。
ゲーチス「……ずいぶんと時間がかかりましたね」
モニタを睨んだまま、ゲーチスは口を開く。
見上げて確かめるまでもなく、ゲーチスには声の主が誰なのか既にわかっていた。
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