121: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/08/21(日) 00:59:34.64 ID:HsthgRdno
眉を顰め、アクロマはふたたびゲーチスに不審の目を向けた。
アクロマ『それは当然でしょう』
アクロマ『ポケモンが人間の言葉を喋るなんて』
ゲーチス「『身の程知らずだ』と?」
アクロマ『いえ、そうは思いませんが……』
アクロマ『実際に見ると、そのちぐはぐさは不気味でしかない』
ゲーチス「ええ、その通りです」
アクロマ『あれがどういった経緯で人間の言語を獲得したのか、わたくしにはまだわかりません』
アクロマ『ですが波形には、同種同士でコミュニケーションを行なっている際と大きく異なる結果が出ています』
アクロマ『ああして喋るにあたって、もはや頭脳のどの部分をどう使っているのかも違うということです』
アクロマ『それにしても、いったいなぜ……』
ゲーチス「本人にとっては、必要なことだったのでしょう」
アクロマ『ああ……そうか、ええ、記録にもありましたね』
アクロマ『しかし、たかがあんな理由で?』
アクロマ『いや……もともと頭脳のみならず、彼らについてはわかっていないことばかりです』
アクロマ『この場合、イレギュラーな能力を後天的に獲得しているわけです』
アクロマ『もともと持っていた能力や特性のいずれかを犠牲にしている可能性があります』
アクロマ『生育にあたって、進化や技能の習得が阻害されるかもしれませんし』
アクロマ『本能が司る部分や、生来備わっているはずの機能に影響が出ることもあるでしょう』
アクロマ『いえ、まだ何の確証も持てない、推測でしかありませんが』
アクロマ『そういう分野を研究している人間は、なぜかあまりいませんから』
ゲーチス「それもまた、なぜなのでしょうね」
アクロマ『……?』
アクロマが不思議そうな顔をした。
そんな疑問は考えたこともない、という表情だ。
だが、幽霊でも見たかのような不安そうな目は間もなく消えていった。
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