120: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/08/21(日) 00:55:52.55 ID:HsthgRdno
アクロマ『……』
ゲーチス「おや、あなたも事前に知っていたではありませんか」
ゲーチス「あれがどういう特異さを持っているか」
アクロマ『ええ……それは、はい……』
アクロマ『……しかし、実際にあれを目にし、声を耳にしてみると』
アクロマ『研究員たちが嫌悪したのも理解できます』
アクロマ『わたくしは、どういうわけか、実際に相対するまで、それほど驚いてはいなかったのですが』
ゲーチス「そうですね」
ゲーチス「あなたは、同じような能力を持つ『都市伝説』を知っていた」
ゲーチス「今更、驚くには値しなかったはずですね」
アクロマ『いや、しかし、あれがまるで人間のように話す姿は……』
アクロマ『その……なんというか、好奇心以前に、より原始的な感情を想起させる』
ゲーチス「なるほど」
ゲーチス「あなたの言う、『より原始的な感情』とは?」
アクロマ『……ど』
ゲーチス「……」
アクロマ『どうにも、気味が悪い』
ゲーチスは声を上げて笑い始めた。
押し殺した笑いに始まり、次第に声も大きく、ひきつった笑い方に変わっていく。
アクロマが呆気に取られているのも気にせず、ゲーチスは大声で笑いつづけた。
時たま混じるノイズとゲーチスの哄笑だけが薄暗い部屋を揺らしている。
しばらくして、ゲーチスは笑うのをやめた。
思い出したように、モニタの中のアクロマに視線を戻す。
ゲーチス「ああ、これは失礼しました」
アクロマ『そこまで面白い話でもなかったと思うのですが』
ゲーチス「いえいえ、そういうわけではありません」
ゲーチス「信じてはもらえないかもしれませんが、あなたを笑ったのではないのです」
アクロマ『……そうですか』
ゲーチス「やはりそう感じたのですね、あなたも」
アクロマ『面白いと?』
ゲーチス「いえ、『気味が悪い』という、その感情のことです」
アクロマ『それは……』
ゲーチス「なぜ、我々はそう感じるのでしょうね」
469Res/395.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20