105: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2016/07/02(土) 23:02:54.25 ID:g+YmgrcZo
消しゴムを拾って渡したくらいのことで。
あんなにニコニコと礼を言われ、頭を撫でられたくらいで。
コマタナ「……ゔお……?」
ダゲキは我に返った。
不思議そうな顔で自分を見上げるコマタナが見える。
ひょっとすると、と頭のどこかから声がする。
あの人間のところへ、自分も行ってみればいいのではないか。
会ってみれば、今こうして身の内にうねる感覚の正体がわかるかもしれない。
朝の来ない不安のような、夜が来てしまう焦りのような。
立ち止まれない恐れのような、再び歩き出すことのできない怯えのような。
だからといって、行くことで何かが変わるとは限らない。
変わるにしても、何がどう変わるのかもわからない。
いずれにせよ、今のコマタナをひとりで行かせるわけにはいかないのだ。
コマタナを人間に見せに行くなら、自分が連れて行くしかない。
ダゲキ「……なんでもないよ」
そういえば、と急に思う。
どうしてだったか。
どうして、自分はあの人間のところにいたのだろう。
ジュプトル「ねえ、おれも、いって いい?」
ダゲキが目を向けると、ジュプトルは居心地が悪そうに肩を竦めていた。
もじもじして鼻を掻き、媚びるような目を向けている。
ダゲキ「……い、いいよ」
ジュプトル「や、やったあ」
ダゲキ「でも、どうして?」
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