221: ◆c6GooQ9piw[saga]
2016/03/23(水) 22:22:25.76 ID:Pfshhs6BO
さやかは、全力で走り続けた。
まるで、見えない何かから逃げるように。
しかし、その声がやむことはなかった。
──仁美さえいなければ、こんなことにはならなかったのに。
さやか(……違う)
──仁美さえいなければ、こんなふうに悩まされることもなかったのに。
さやか(……違う!)
──仁美さえいなければ……
さやか「違う!!」
大きく叫んで、さやかはようやく立ち止まった。
呼吸が荒い。
いつの間にか、見たこともないような場所に来てしまっていた。
さやか「……っ」
さやかは、無理やり呼吸を押さえ付けた。
自分の心と向き合う覚悟を決めようとした。
だが、できない。
息が整っても、まだ心が鎮まらない。
魔女と戦っていたときの方が、まだ平静を保てていた。
さやか(……あたし、一体どうしちゃったんだろう)
本気で、仁美を助けなければよかったと思ったわけではない。
だが、少しでもそんな気持ちがなかったかと言われれば、否定はできなかった。
さやか(どうして……)
さやかは、自分の本心がわからなかった。
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