文才ないけど小説かく 7
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92:知恵の焔(お題:劫火) 3/6 ◆NSr7d3y3ORk4[saga]
2016/03/11(金) 21:14:24.33 ID:jIIawTj0o

「大丈夫かい?」


全身がびくりと引きつる。 呼吸のために俯いていた上体を起こすと、見知らぬ男が珍しいものでも見たかのような表情を浮かべていた。

そこで私は思い出す。 あの時の足音はこの男のものではないか?

そのぎこちない作り笑いは、きっと私の警戒を解くためのものだろう。


―――私を燃やすために。


私は駆け出した。 追ってきたので燃やした。

視界の外から大きなクラクションが聞こえる。 車ごと燃やした。

それを見た若い夫婦が叫びを上げた。 燃やした聞きつけた人がやってきた燃やした燃やした燃やした燃えろ燃えてしまえ。


燃やすことのできる側の人間である私に、この社会のどこにも居場所なんてない。



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