文才ないけど小説かく 7
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91:知恵の焔(お題:劫火) 2/6 ◆NSr7d3y3ORk4[saga]
2016/03/11(金) 21:13:28.51 ID:jIIawTj0o

脈がうるさく鳴り響く頭の片隅で、私は一つの結論に辿り着いた。

人は燃やせるのだ。 誰も自覚していないだけで、おそらく誰でも。


こみ上げる胃液を抑えつけ、むさぼるように肺へ空気を取り込む。 それから酸素の足りていない脳で逃げるように思考を巡らせた。

なぜ今まで誰も気づかなかったのだろう? 私のような子供が思いつくほどには単純な発想だというのに。

熱を帯びた脳裏で想像する。 誰もが燃やせるという社会を。


人ひとりを跡形もなく灰に還すことのできるこの焔は、絶対に裁くことができない。

なぜなら拘束したところで、人も建物も燃やし尽くせばいいだけのことなのだから。

人がこの火から自衛するためには、そいつに燃される前にすみやかに彼を殺せばいい。

善人にも悪人も等しく危険に晒される社会―――そんなものが果たして存続可能だろうか?


自分を安全な人間だと主張するつもりなら、私には燃やすことができないと騙ればいい。

それを証明するつもりなら、一度も誰も燃やさなければいいだけのことだ。

そうしていくうちに、いつしか人は燃やせるということを忘れてしまったのだろう。


だが、燃やせるという事実が消え去ったわけではない。



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