83:曇天の霹靂(お題:霹靂) 3/4 ◆NSr7d3y3ORk4[saga]
2016/03/09(水) 18:01:00.08 ID:BtpY/IcOo
「あれは何?」
彼女がそう呟いた刹那、灰の切れ間から覗く蒼空に光の裂け目が走った。
遥か彼方を覆う偽物の雲は、その裏側で瞬く稲光に合わせて古ぼけた電灯のようにせわしなく点滅している。
「あれは……稲妻だ」
「イナヅマ?」
「空がいつも晴れていた頃の自然現象だよ」
帯電した灰が裂けることで放たれた電子が、蒼空を跨いで橋を架けるようにまた別の灰へ。
空がひび割れないかしら、という彼女の問いに相槌を打つやりとりをいくつか繰り返したあと、予期せず訪れたそれにボク達は息を飲んだ。
――――――――轟ッ!!
この曇天の空を埋め尽くすかのように弾かれる閃光。
網膜を焦がすほどの輝きに囚われた意識は、遅れてやってきた怒号に大きく揺すぶられる。
482Res/279.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20