84:曇天の霹靂(お題:霹靂) 4/4 ◆NSr7d3y3ORk4[saga]
2016/03/09(水) 18:02:45.87 ID:BtpY/IcOo
濁流のように叫びを上げた大気は、宙に漂う灰燼に乗って伝播していく。
そうしてボクに届いた揺らぎは全身から侵入して内側で何度も反響したあと、じりじりと肌を掻き鳴らしながら去っていった。
「あの煤まみれの空は、こんなものまで私達から隠してきたのね」
雷は、さらに古い言葉で神鳴りと書くらしい。
雨の涙を流す神、その口から漏れた嗚咽がボク達の住む地上に響いているさまを指しているそうだ。
ならばこの蒼空に轟く神鳴りは、きっと久しぶりにあの澄み渡る空色を見て感嘆の声をあげているのかもしれない。
舞い上がる灰が地上へと差し込む光芒に照らされて燦然と煌めき、一筋の梯子となって埃を被った舞台に踊り出る。
それからしばらくは灰色の世界に広がる蒼天に、いつまでも嬉しげな霹靂が響き渡っていた―――――
482Res/279.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20