文才ないけど小説かく 7
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429:薔薇の見える丘(お題:最強の女騎士まさかの敗北)3/6[saga]
2017/05/01(月) 00:13:39.25 ID:XkZMTs0r0
身なりは汚かったが、精悍な顔つきをした黒髪の少女で一向にローザから視線を離そうとしなかった。
「名は何という。」
少女はしっかりと目を見て、はっきりと言った。
「エリカです。」
ローザは一目でこのみすぼらしい少女を気に入った。
時期外れに騎士団に入団しようなどという変わり者だ。
きっと、何か人に言えぬ事情とやらがあるのだろう。
ローザはわざと聞かずにおいた。
時が来ればいずれ自分から話してくれるだろうと思ったからだった。
ローザはエリカを騎士団に入団させた。
エリカは若かれし頃のローザを彷彿とさせるような献身的で努力家の面を浮き彫りにさせた。
決して他の者よりも優れた才を持っていたわけではなかったが、見る見るうちに上達し、
わずか3か月で他の訓練生に追いついて見せた。
エリカの一日は朝5時に始まる。朝は剣術の訓練に励み、昼は宮殿の外周を走り込み、
夜は遅くまで図書館で本を読み漁った。また、眠れぬ夜などには外に出ては剣術の訓練を黙々としていた。
ローザはその様子を窓から毎晩ひどく懐かしむような眼で見ていた。

あれから10年の月日が過ぎた。
エリカは美しく、そして逞しい女騎士に成長した。
今では頭角を現し、その存在は騎士団の中でも群を抜いていた。
ローザはエリカになら騎士団を任せられるのではないかと次第に思うようになっていた。
帝国安寧の時期であった。

その少しして、帝国は再び戦乱の時期を迎えた。
ローザ50歳、エリカ20歳の夏だった。
エリカの初戦であった。
ローザはこの戦を最後にしてエリカに騎士団長の座を引き渡そうと思っていた。
戦の前日の深夜、エリカはローザの部屋を訪ねた。
「ローザ様、まだ起きていらっしゃいますか。」
ノックから少しして、扉が開いた。
「どうした。」
「どうにも眠れないので、剣のお相手をしていただけないでしょうか。」
「ははあ、エリカ貴様緊張しておるな。まあ、そう緊張するなとは言うが無理はなかろう。少しだけ相手をしてやろう。」
「すみません、ありがとうございます。」
二人は外に出た。


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