文才ないけど小説かく 7
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430:薔薇の見える丘(お題:最強の女騎士まさかの敗北)4/6[saga]
2017/05/01(月) 00:18:07.12 ID:XkZMTs0r0
お互いに向き合い剣を構える。
『はああっ!!』
キンッ!カンッ!!とおぉ!!二人の剣の音と声が夜の闇にこだまする。
「はあ、はあ・・・」
「エリカ、そんなんで息切れをしておるとはみっともない。戦場では敵は待ってくれぬぞ。」
ローザは得意げに笑って見せた。
エリカの返事はない。
いつもならこの程度でエリカが息切れするなどありえなかった。
ローザは不安に思った。
「エリカ、休憩するか。」
エリカは無言で頷いた。
噴水の前に腰掛け、次第に明るくなっていく夜空を見ていた。
きっと、エリカは不安なだけだろう。訓練と実際の戦は全く違う。
皆、己の命を懸けている。生き残ろうと捨て身の攻撃をする者も少なくない。
命を捨てた人間の恐ろしさと執着心程恐ろしいものはないとローザは長い騎士人生の中で思っていた。
沈黙が続いた。
最初に沈黙を破ったのはエリカだった。
「ローザ様、聞いてほしいことがあります。」
「何だ。」
「私、おなかに赤ちゃんがいるんです。」
「なんだと。誰の子だ。」
「休暇をもらって街に出た時に男たちに囲まれて、わたし、それから。」
「いい、もう言わなくてもよい。」
「申し訳ございません。ローザ様に育てていただいたのに、何もできませんでした。
せめて明日の戦で戦果を出したいと思っています。」
「いい、気にするな。明日はとにかく生き延びる事だけを考えろ。いいな?」
「ありがとうございます。わたし、自分がすごく弱い存在だと思いました。
剣無しでは何もできなかった。男たちの力は凄まじくて、到底敵わず、
女の私では殴り飛ばすことくらいしかできませんでした。
何も、何もできなかったのと同じです。戦が終わったら国を出ようと思います。」
ローザは返す言葉が瞬時に思い浮かばなかった。
長い沈黙が続いた。
「国を出るなどと、そう早まるな。お前はまだ若い。
やり直しがきくではないか。騎士団員で子供を持つ者はそう多くはないが、
おるではないか。女一人で子を育てるのは何かと苦労が多いとは思うが、
私にも決して多くはないが貯えがある。お前がその気なら私は喜んで支援しよう。」
エリカは首を横に振った。


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