勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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88:名無しNIPPER[saga]
2016/02/28(日) 19:53:30.80 ID:09+TUdRc0
勇者が真打・夜桜を一閃する。
騎士も応じて、精霊剣・湖月を振った。
勇者の胸が切り裂かれ、血が噴き出した。
騎士も同じ場所に傷を負い、仰向けに倒れる。
互いに致命傷だ。
だが、勇者は死なない。
彼の傷は共にいる仲間によって治療が為されるだろう。
騎士を治す者は誰も居ない。
だから、騎士はここで死ぬ。
それが好き放題に生きてきた、彼の結末。
騎士(悔いはない……割と好き勝手出来たし、ぼちぼち面白い人生だった)
騎士(まあ、そうだな……それでもひとつだけ心残りを挙げるとしたら……)
最後の力を振り絞って顔を起こし、騎士は勇者の姿を確認する。
仲間たちに囲まれて、勇者は傷の治療を受けている様子が目に入った。
首に入れていた力を抜くと、ばしゃんと自分の体から生まれた血だまりに後頭部が沈む。
騎士「勇者……お前の結末を、出来れば見届けたかったな………」
騎士「それが……悔いと言えば、悔いか……」
騎士「…………」
騎士の目から光が消える。
彼が最後に呟いた言葉は、誰の耳に届くことも無く、ただ空に吸い込まれていった。
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