勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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564:名無しNIPPER[saga]
2017/06/25(日) 16:20:09.36 ID:dyU/3Fo20
魔族娘の喉に突き立てた剣を引き抜き、勇者は剣についた血を払う。
勇者の腰には二つの首が――――大魔王と、その娘の首が下げられていた。
戦士「ここまで……ここまでする必要があったのか?」
勇者の背後から、神妙な顔で戦士が声をかけた。
勇者「あったさ」
勇者はとても平坦な声で戦士に返答した。
勇者「この試験都市フィルストに住む者は皆知性の高い高位の魔族ばかりだ。ここに住む者は誰しもが第二の大魔王に成り得る。残しておけば必ず後の禍根となる。親父の家族なんて、その最たるものだ。とても生かしておくことなど出来なかった」
勇者は戦士に向かって振り向いた。
血と煤で汚れた顔が、炎の赤い光に照らされている。
勇者「親父の首もここに埋めていく。本望だろ。愛する家族と一緒に眠れるんだ」
そんな勇者の言い草に、戦士は何だかとても泣きたい気持ちになった。
勇者「なんだよその顔……いいんだぜ、別に。もうついてこなくたって」
勇者は戦士に背を向けた。
そして、言った。
震える声を、必死に押し殺して。
「正直、もう無理だろ。こんな奴」
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