勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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420:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:30:04.03 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者「勇者ッ!!!?」
戦士「勇者ッ!!!?」
『伝説の勇者』と戦士の、悲鳴のような声が重なった。
勇者「何を驚いてんだよ、アンタ……」
勇者は『伝説の勇者』をせせら笑うように言った。
伝説の勇者「もうよせ! 敵わないのはわかったはずだ!」
勇者は『伝説の勇者』の言葉に聞く耳など持たず、一歩踏み出した。
よく見れば、勇者の体は全快などしていない。
傷は塞がり切らず、ポタポタと零れる血は床の水溜りを広げ続けている。
伝説の勇者「何故お前は……そこまでして……」
勇者「大魔王を倒すのに邪魔な敵が目の前にいる。剣を振るのにこれ以上の理由がいるかい?」
伝説の勇者「俺は!! ……俺は……お前の敵なんかじゃ……!!」
勇者「……くく」
勇者は笑い出した。
勇者「くく、ははは……あは!! あはははは!!!! ぎゃははははははははははは!!!!!!」
伝説の勇者「勇者……!!」
勇者「あー、傷が痛え。笑わせんなよ親父―――――父さん」
一転して、勇者の顔から笑みが消える。
笑みどころか―――勇者の顔からは、あらゆる感情が抜け落ちてしまったようだった。
勇者「もう俺にとってはあなたの存在自体が耐え難い。あなたが息をしているってだけで息苦しい。あなたが生きる世界に同時に生きていくなんて、俺にはもう無理だ」
勇者「――――俺が死ぬか、アンタが死ぬか。どちらかが死ぬことでしか、もうこの話は決着しないんだよ」
勇者からの剥き出しの敵意を受けて、しかし『伝説の勇者』は逆に覚悟を決めた。
伝説の勇者「……そうだな。わかってもらおうだなんて、許してもらおうだなんておこがましかった。恥知らずにも程があったよ」
勇者に呼応するように、『伝説の勇者』は剣を構える。
伝説の勇者「次は確実に意識を刈り取る。回復呪文など唱えさせはしない。俺は絶対にお前を救ってみせるぞ、勇者」
勇者「喋んなよ。俺を救うってんなら、黙って今すぐ喉を掻き切ってくれ」
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