勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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421:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:30:43.23 ID:ZSsiH8ra0
戦士「勇者…!」
勇者「悪いけど下がっててくれ戦士。邪魔だ。巻き込まれるぞ」
勇者は精霊剣・湖月を右手に持った。
勇者「『呪文・大火炎』」
そして上に掲げた左手から巨大な火球を出現させる。
伝説の勇者(呪文…! 勇者の奴、一体いくつの呪文を習得しているんだ…!)
一瞬目を見開いた『伝説の勇者』だったが、すぐに冷静になって勇者の生み出した火球の威力を推し量る。
伝説の勇者(成程、大した威力だが……覇王樹によって加護が増大した今ならば、たとえ無防備な所に直撃したとしてもダメージは無い)
伝説の勇者(しかしあれだけの規模の火球だ。ダメージは無くともこちらの視界を塞ぐことは十分可能。ならば何かをされる前に火球に自ら突っ込み、剣風で炎を散らすが最善!!)
そう決断した『伝説の勇者』がその足に力を込める―――より早く。
勇者の口は動いていた。
勇者「穿て――――『湖月』」
右手に持った精霊剣・湖月から水流が迸る。
そしてその水は勇者の頭上にあった火球に突っ込み、瞬く間に蒸発して大量の蒸気を生んだ。
伝説の勇者「むお…!」
蒸気に巻かれ、『伝説の勇者』の視界が白く染まる。
だが視界の制限は形こそ違えど元々予期していたところであったため、『伝説の勇者』に動揺は無い。
伝説の勇者(小癪……!! いくら煙に紛れて近づこうと、いざ剣を振る瞬間には必ずその勢いで蒸気は割れ、勇者は姿を現す。俺が剣を振るのはそれからでいい。たとえ勇者がどれだけ早く攻撃の姿勢に移っていても、それを覆すほどの速度差が今の俺達にはある!)
『伝説の勇者』は剣を構え、周囲に向かって気を巡らす。
あらゆる動きを逃さぬよう集中する。
煙が割れた。
例えそこに現れたのが勇者ではなく戦士であったとしても、『伝説の勇者』は動揺なく迎撃できる自信があった。
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