勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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405:名無しNIPPER[saga]
2016/11/06(日) 01:20:05.03 ID:ZSsiH8ra0
彼は騎士団長に就任して間もなく、王宮内で給仕を務めていた女性と結婚した。
その女性との結婚に関しては、彼の同僚はおろか女性の家族、果ては女性自身からも反対されていた(曰く、身分が違いすぎるだの、恐れ多いだの)のだが、まあそれはともかく。
彼は彼自身が見初めた女性と結ばれ、さらにその間に男子を授かるなど、まさに幸せの絶頂にあったのだ。
とりわけ彼を喜ばせたのは、その息子が類まれな剣の才能に恵まれていたことだった。
まだ歩き始めて間もない頃に、彼は戯れに息子に剣を模した木の棒を与えた。
日夜修練として剣を振る父の姿が目に焼き付いていたのだろう。その息子はその棒の意味をすぐに理解し、父の真似をして振り回し始めた。
これには彼も、彼の妻も、周囲の者達も大いに喜んだ。
父を超える勇者の誕生だと盛大に盛り上がった。
そして彼は嬉々として息子に剣の稽古をつけ始めた。
メキメキと剣の腕を上げる息子を見て、彼はこの上ない喜びと高揚感を覚えていた。
それは熱狂と言ってさえ良かっただろう。
まさしく、熱に狂っていた。
でなければ――――年端もいかぬ幼子に真剣を向けるという凶行など行われるものか。
そして悲劇は起きた。
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