勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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29:名無しNIPPER[saga]
2016/01/31(日) 21:58:17.52 ID:zBP9Ql630
数分前、魔大陸上空――――
たった一人で翼持つ魔物達を相手に空を守り続けた竜神は、大地から放たれる光を興味深く見つめていた。
竜神「ふむ……これが話に聞いていた『宝術』か。エルフ共め、大した術を持っておるわい」
ぽん、と幼女の姿に戻った竜神は、ふむふむと感心したように顎を撫でた。
竜神「魔物の力を封じると聞いて、儂にまで影響を及ぼした時にはどうしてくれようかと思っていたが、むしろ儂の力さえ底上げしておる」
竜神「これから推測するに……単純に種族ではなく、どうやら『この世界に生きる者』と『それ以外の者』とを区別して効果を与えているようじゃな」
竜神「すなわち、かつて遠い昔にも、この世界は他の世界からの侵略を受けたことがあり、当時のエルフ達がこの術を編み出した、という仮説が成り立つ」
竜神「運が悪かったの、魔王とやら。儂も知らなんだがどうやらこの世界、異界からの侵略に慣れておるようじゃぞ? よりにもよって、こんな世界を侵略の対象にするとは、ご愁傷さまじゃ」
竜神「む? いや、異界に繋がりやすく、容易く侵略に晒されてきたからこそ、こんなにもここで世界防衛のノウハウが発達したのか……ま、推測に推測を重ねても仕方あるまい」
ぎゅん、とその背から生やした翼をはためかせ、竜神は猛烈な速度で下降する。
竜神「武道家ーーー!! 儂のおかげで術の発動が成功したんじゃぞーーー!!!! 褒めて褒めてーーー!!!!」
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