勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編
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262:名無しNIPPER[sage saga]
2016/06/26(日) 19:13:52.09 ID:Trw4ei5x0
勇者の体から煙が噴出した。
煙が噴出したところから肌の色は黒から元の肌色に戻り、背中から生えていた羽は文字通り煙のように消えていく。
変化の杖の効果を解除した勇者の姿を、目の前の男は大きく目を見開いて見つめていた。
魔族A『に、人間だああああーーーーーーーーッ!!!!』
勇者達を案内していた魔族が叫び声を上げた。
その声に反応した町の住民たちも勇者の姿を次々と確認し、どよめきが町中に広まっていく。
しかしその全てが、今の勇者にとってはどうでもよかった。
勇者は立ちあがり、目の前で固まってしまった男をじっと睨みつけている。
勇者「なあおいどうした。魔界で幸せに過ごしすぎて人間の言葉を忘れちまったのか、ああ? いや、そんなわけねえな。さっきそっちの奴らと俺らの言葉できゃっきゃきゃっきゃ喋ってたもんなあ?」
勇者はそう言って男の背後で寄り添って震えている魔族の母娘を指差した。
男はようやく我に返り、恐る恐る口を開く。
男「お前は…お前は、まさか……」
勇者はチッ、と舌を打つ。
勇者「五年以上も経てば顔も分からなくなっちまうか? そりゃそうか。アンタが知っている俺は、まだ毛も生えてねえガキだった!!」
男は―――勇者と同じように黒髪で、目鼻立ちも面影を同じくするその男は、驚きを顔に貼りつけたまま、言った。
男「…………勇者、なのか…?」
瞬間―――――勇者の拳が、男の顔面に叩き込まれていた。
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