本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2
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755: ◆Tw7kfjMAJk[sage saga]
2019/01/20(日) 18:22:33.68 ID:eq8ixgN30

「……後ろ向きに歩くな。危ないから」

 すぐに彼が非難するように眉を寄せてそう言うことはわかってたから。でも、それを素直に聞き入れるかと言えばまたべつの話だ。

「だよね。ここらへんはまだ一本道で大丈夫だとは思うけど、路地からいきなり人が飛び出してくることとかもあるかもしれないもんね」

「わかってるならさっさと前向いて歩け」

「えー。それは言葉じゃなくて、行動で示してほしいかなー、なんて」

「……お前なぁ」

 未央の思惑を察したのだろう。彼は呆れたように肩を落とし、「そんなことのために後ろ向きで歩くな」と唇を曲げる。

「ごめんごめん。もうやらないから、ね?」

「ね? って……そもそも、こんな回りくどいことしなくても言ってくれれば」

「してくれるの?」

 一歩踏み込み、下から見上げるようにして首を傾げる。彼は目をそらす。

「……最近は、割と、してるだろ」

 小さく唇を尖らせてそう言う彼を見ていると、かわいいような、ちょっといじめすぎたような、そんな感情が湧き上がって、「そうかもねー」と身を起こす。

「でも、わざわざ回りくどいことをしたいのもオトメゴコロというやつなのです」

「面倒くさいな」

「うん。そういう面倒くさいところにきゅんとしない?」

「しない」

 即答。そんな彼を見て、未央はふふっと笑い、

「うそつき」

 そう言って彼の腕にぎゅっと抱きつく。彼はそれに驚いた様子を見せながらも抵抗はせず、ただ不満を示すポーズのために口を結んだだけだった。

「プロデューサーって、素直じゃないよね」

 そんな彼を見て、未央は嬉しそうに笑う。

「未央も素直かって言ったらそうでもないだろ」

「それじゃあ、お互い様だ」

「かもな」

 彼は口元をゆるませて、未央はえへへーとだらしなく笑う。

 そうやって、ふたり、寄り添いながら歩いていく。



 ……って、なんだかこのまま終わるような雰囲気になっちゃってたけど、まだ店にも着いてなかった!



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