493: ◆Tw7kfjMAJk[saga]
2016/12/01(木) 00:23:12.59 ID:2RSVv31G0
しかし、からかい過ぎたのか、プロデューサーはとうとうむすっとしてしまった。
そんなプロデューサーを見て申し訳なく思うのではなく、かわいいなぁ、なんて思ってしまう。
「プロデューサー、拗ねないで。からかい過ぎたのは謝るから〜」
「……とにかく、帰るぞ。女子寮までは送るから、早く準備しろ。明日はライブなんだからな」
そんなプロデューサーに対して、未央は小声で「……それなのに遅くまで帰らさなかったのは誰かなー」なんて言う。プロデューサーがわかりやすく落ち込む。
「ごめんごめん、べつにせめてるわけじゃないよ。本当、嬉しかったもん。感動したよ!」
その言葉は未央の本音だったが、今のプロデューサーからすれば慰めの言葉にしか聞こえない。
「ごめんな……自分勝手で……」
プロデューサーの自己嫌悪モードである。こうなるとすごく面倒くさい。それを未央は知っている。
うーん、どうするか……これはさすがに私が悪いし、でも、このまま落ち込まれても……。
そう思った未央は、そうだ、とあることを思いつき、ととと、と事務所の冷蔵庫の方に走ってあるものを持って戻ってきた。
そして。
「えいっ」
ぐさっ、とプロデューサーの口にあるものが差し込まれた。
ポッキーである。
いきなり、何を……そう思ってプロデューサーは未央の方を見た。
未央は言った。
「早く立ち直らないと、またポッキーゲーム、だからね」
ポッキーゲーム。
その言葉を聞いたプロデューサーの脳裏に浮かんだのは、つい最近、ポッキーの日にあった……!
「それはダメだ!」
プロデューサーが叫ぶようにして言った。よし、作戦成功。未央はプロデューサーに見えないように小さくガッツポーズをつくった。
「うん、やらないよ。だから、早く帰ろう? 私をお城まで送って下さいませ、王子様」
演技がかった調子で、まるでお姫様がドレスのスカートをつまんであいさつをする時のように、ミニスカートをつまんで礼をして、それからお姫様がエスコートをされる時のように未央は手を差し出した。
そんな未央を見て、プロデューサーは今までのことは自分のためにやってくれたのだと悟る。ふっと微笑み、
「必ず無事に送り届けますよ、シンデレラ」
なんて言って、未央の手を取り、歩き出す。
「……の前に、色々、戸締まりとか確認しないとな」
「……台無しだよ、プロデューサー」
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