487: ◆Tw7kfjMAJk[saga]
2016/11/30(水) 23:55:00.81 ID:Oz6oIwso0
「というか、ココア、まだ飲まないのか? 冷めるぞ」
「あ」
すっかり忘れていたと言うように、未央は手元のマグカップを見る。
「……さ、さっきは熱くて飲めなかったから、わざと冷ましていたのですよ?」
口調からして明らかにおかしかったが、熱くて飲めなかったというのに嘘はない。幸い、さっきからそれほど時間が経っているわけでもなく、マグカップからはまだ温かみを感じる。
「……まあ、まだ冷めてはいないだろ。飲んどけ」
プロデューサーに言われた通り、未央はココアを飲むことにする。さすがにまだ大丈夫だろうとは思いながらも、さきほどの痛みを忘れられず、恐る恐る口をつける。
上唇がぴちゃ、と付いた瞬間思わず離してしまうが、熱くはない。
それに安心して、今度はゆっくりとココアを飲んで……。
「ん……」
温かい。熱くはないけど、身体の芯から温まるようだった。
優しい味だった。甘くて、でも、少しだけほろ苦くて……それが、とても心地良かった。
「おいしいよ。ありがとう、プロデューサー」
「どういたしまして。身体、ちょっとは温まったか?」
「うん。プロデューサーのおかげで、体調は万全だよっ」
「……それならそもそも外に出るなよ」
もっともである。しかし、未央は「えへへ」と笑ってごまかす。プロデューサーもまた、呆れたように笑うだけでそれ以上のことは何もしない。
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