486: ◆Tw7kfjMAJk[saga]
2016/11/30(水) 23:51:31.87 ID:Oz6oIwso0
事務所には既に未央とプロデューサー以外誰もいなかった。この時間だから当然……というわけでもないのだが、少なくとも今日はそうだった。
「誰もいないね」
「そうだな。ちひろさんも、さっき帰ったし……未央は、女子寮でいいんだよな?」
「うん。こんな時間になっちゃったけど、入れる……よね?」
「正面からは入れないが……大人組にはこれくらいの時間まで仕事してる人もいるし、これくらいの時間まで飲んでる人もいるからな」
「……これくらいの時間まで飲んでるのって、大人なら普通?」
「普通かもしれないが、アイドルなんだからあんまり……いや、まあ、控えてはほしいし、ある程度控えてくれてはいるんだけどな? でも……でもなぁ」
「心配、って?」
こくり、とプロデューサーがうなずく。心配……心配、か。
「……私も20歳になったら、そんな風になるかもよ?」
「ならないでくれ」
即答である。そんなプロデューサーに対して未央は笑って、
「それは未央ちゃんが心配だからかな?」
「そうだ」
これも即答だった。これも即答されるとは思っておらず、未央は一瞬だけ固まる。
「……プロデューサーって、束縛、強い方?」
「束縛……」
プロデューサーはそうつぶやいて、ハッとする。
「い、いや、そういうわけじゃないぞ? 確かに心配だからだが……束縛が強い方じゃ、ない、と、思う。たぶん」
「たぶん、って……私は、べつに、束縛強くてもいいんだけど」
「んっ!?」
ごほっごほっとプロデューサーがむせる。いきなりむせ始めたプロデューサーの背中を未央はさする。
「お前、そういうこと、言うなよ」
「なんで? ……あ、もしかして、えっちなこと考えた、とか?」
「……お前、意味わかって言ってるか?」
意味。もちろんそれはわかっている。束縛が強いというのを、えっちなことで考えると……ん!? もしかして、私、すごいこと言った!?
「わかったみたいだな」
顔を赤くして照れる未央を見て、プロデューサーは溜息をつく。プロデューサーもプロデューサーで、耳を赤くしていたのだが。
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