79:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/09(土) 00:19:59.75 ID:wFKv96Wio
「それでお兄ちゃんのことを懲らしめようって。お兄ちゃんには麻衣ちゃんがいるのに何
考えてるのって、お姉ちゃんが言って」
「昼飯抜きのときの話か」
「そう。でもその時、お姉ちゃんはあたしのことを考えているより、お兄ちゃんが二見さ
んのものになるのを嫌がってるんだなって気が付いちゃって」
「そうだとしても、何で今さらおまえが有希のことを炊きつける必要があるんだよ」
「それはもう言ったよ。よく知らない二見さんにお兄ちゃんを盗られるくらいならお姉ち
ゃんに盗られた方がいいって」
「盗られるっておまえなあ」
「だってお兄ちゃん、あたしのことは妹としか見てないでしょ」
何だよいったい。俺が麻衣のことを妹以上の存在として見ているとしたら、そっちの方
が問題だろう。
「当たり前だろ。麻衣は俺の大切な妹だって思ってるよ。他の誰よりも大事な存在だっ
て」
「うん。お兄ちゃんがあたしのことを大切にしてくれてるのはよくわかるの」
「それならいいけど。でも、なら何で」
「だからさ、あたしもいい妹になろうって思ったの。お兄ちゃんの彼女になりたいなんて
変な夢見るのはもうやめようって」
そこまで言うか。実の兄に対して。
「あのさあ」
「お兄ちゃんが昔からお姉ちゃんのことが好きなこと、あたしも知っていたし」
不意討ちされて俺は黙ってしまった。
「だから、あたしはお姉ちゃんのこと応援しようと思ったの。本当は辛いけど」
本当は麻衣の俺に対する気持ちに狼狽するべきタイミングなのだろうけど、それはきっ
と麻衣の思い込みだ。普段から両親が不在がちな環境におかれた麻衣が、過度に俺に依存
した結果、その依存を男女間の恋愛に置き換えてしまっているだけだ。むしろ俺は、麻衣
が何で俺を有希に譲ろうとしているのかが気になった。逆に言うと、二見より有希の方が
麻衣にとっては親しみやすい相手だということか。
いや。きっとそれも考えすぎなのだ。麻衣にとって有希は実の姉のような存在だ。別に
二見が嫌いとかではなく、有希の方が親しい存在なのだからだろう。
「とにかくお風呂は入っちゃって。夕ご飯の支度はできてるから」
麻衣は、自分が勝手に始めた話を勝手に打ち切ってそう言った。
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