77:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/09(土) 00:18:51.30 ID:wFKv96Wio
俺の返事なんかもとから期待していなかったように彼女は話を続けた。謎めいたこいつ
のことが知りたいという気持ちが先に立っていたため、俺は女の話を遮らずに黙っていた。
「これでも中学の頃は親友もいたし、信じないかもしれないけど告られて付き合った彼氏
もいたんだよ」
彼女は言った。
「でも、この高校には一年の途中で転校したこともあってさ。何となくぼうっとしてたら
ぼっちになっちゃってた」
こいつは転校生だったのか。それにしても納得できない話だなと俺は思った。こいつく
らい外見が良くてコミュ力もあれば、いくら転校生だとはいえ友だちが出来ない方が不思
議だ。むしろ近づいてくるクラスメートを自分の方から拒否してたんじゃないのか。
「あはは」
二見は笑った。もうさっきの沈黙はすっかり消え去り、むしろ彼女は饒舌になっていた。
「自分から周りを拒否してるんじゃないのかとか思ってるんでしょ」
「まあ、正直に言うとそう思うな。だって、俺とだって初対面に近いのにこんなに普通に
話せてるじゃん」
以前にも彼女には話したことがあるけど、それは俺の正直な感想だった。
「まあ、そうね。あたしあまり学校とかに関心なくてさ。君と全く同じことを一年の時の
担任にも言われたことあるんだけど」
「でもあたし、去年から自宅でネットの掲示板にはまっててさ」
こいつは何を言ってるんだろう。
「2ちゃんねるって知ってる?」
二見が聞いた。もちろん知らないわけはなかった、そんなに頻繁に覗いているわけでは
なかったけど。
「うん。たまに見るよ」
「それでね。学校で交流がなくてもあたしはそこで十分に人とコミュニケできてるから
さ」
「はあ? そんなの実生活の上で人と交流するのとは別じゃん」
これに対して二見は少し黙っていたけど、少しして今までの気楽な態度をやめ、かなり
真面目な表情で俺を見てこう言った。
「君さ。女神って知ってる?」
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