女神
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69:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:16:59.06 ID:V/baVpaao

「迷惑だったら謝るよ。でも遠山さんのこと前から気になってたんだ。今まで君に振られ
るのが怖くて言えなかったけど」

「え?」

 告白する男の声に、戸惑ったように有希が声を出した。俺は期せずして有希が告白され
る場面に出くわしてしまったようだった。この場を離れた方がいいと俺の理性は俺に忠告
したけれども、どういうわけか俺の足はそこから動けなくなってしまったかのようだった。

「遠山さん、好きです。僕と付きあってください」

 有希はしばらく何も答えなかった。

「駄目・・・・・・かな」

「先輩」

 ようやく有希が小さな声で言った。

「ごめんなさい。あたし好きな人がいるんです。先輩のこと、生徒会長として本当に尊敬
してます。でも、あたし片思いだけど好きな人がいて。彼のこと諦められません。だから
ごめんなさい」

 相手は生徒会の会長のようだ。確か石井 晃とかいう、やや線の細い感じの先輩だった。
そして、やはり有希は俺のことが好きなのだ。ここまではっきりと有希の言葉を聞くと、
もうこれに関しては疑問の余地はないのだろう。つまり俺は長年の恋を成就させることが
できるのだ。

 ただし、俺が夕也のことを切り捨てて有希の告白に応えれば。

「そうか、わかったよ。君を困らせて悪かったね」

「あたしの態度のせいで、先輩に勘違いさせたとしたら本当にごめんなさい」

 本当に有希はこんなのばっかだ。誤解する男の方はどれだけ傷付くと思っているのだ。

「いや。僕が勝手に思い込んだだけだから。君の好きな人ってさ。何となくわかる気がす
るよ」

「・・・・・・はい。ごめんなさい」

「彼なら祝福するしかないね。僕なんかじゃ全然敵わない。成績もいいしスポーツも万能
だし、何よりもイケメンだしね」

「え?」

 はい? スポーツ万能なイケメン? そうか。この人も夕也が彼女の相手だと思い込ん
でいるのか。でも、まあ、無理もない。有希の日頃の態度を鑑みれば。

「君を困らせて本当に悪かったよ。もう二度とそういうことは言わないからこれまでどお
り生徒会の役員でいてくれるかな」

「はい」

「ありがとう。まあ、ライバルが広橋君なら負けてもしかたないか」

 俺は何となくここで有希が自分の好きな相手は夕也じゃないと訂正するのかと思って柄
にもなく緊張した。

「じゃあ、僕は今日は生徒会活動サボるから。振られた日くらいサボっても許されるだろ
う」

「あ、はい」

 でも有希はそう言っただけだった。

「じゃあ、あとはよろしくね」


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