女神
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52:名無しNIPPER[saga]
2015/12/23(水) 20:38:43.68 ID:Xae/YECko

「おまえ、夕飯は食ったの?」

「お兄ちゃんも食べてないんでしょ」

「何もなかったから食ってねえ」

「そうだと思ったからあたしも食べてない」

「あのさあ」

「うん」

「もういいよ。今日のことは忘れたから」

「ほんと?」

「ああ。本当。おまえ、朝飯か食ってないんだったらこんな時間だけど何か食った方がよ
くねえか」

「お兄ちゃんは?」

「もう遅いからいい。俺の方は昼は食ったし」

「じゃあ、あたしもいい」

 有希の言うことなんかどうでもいいけど、麻衣が俺の大切な妹であることだけは疑いよ
うがない。

「久しぶりに一緒に寝る?」

 俺はずいぶん恥かしいことを口にしたようだ。



 翌土曜日の遅い時間に、俺は妹に起こされた。

「お兄ちゃん」

 何かいつもの朝より妹の声が間近で聞こえると思ったら、麻衣は俺のベッドで俺の横に
寝ながら、半ば半身を起こして俺にささやいていた。

「もう十時過ぎてるよ。いくら土曜日だってそろそろ起きてよ」

「うーん」

「お兄ちゃん」

 頬に湿った感触がした。

「おまえ何してるんだよ」

「あ、起きた」

「・・・・・・おまえ、何で俺の隣に寝てるの?」

 どおりでこいつの声が近くで聞こえたわけだ。

「お兄ちゃんが昨日一緒に寝ようって言ってくれたから」

「そうか」

 そう言えばそうだった。

「お兄ちゃんを起こしたくないから起きてからずっと静かにしてたんだけど、さすがにも
う起きないと」

「でも今日は学校休みじゃん」

「お母さんたちがいないからいろいろ買い物とかもあるし」

「そうなのか」

「ずっとこのままお兄ちゃんの隣で寝ていたいけど、あたしはお買い物に行ってくるね」

「そうか。そうだよな」


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