女神
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418:名無しNIPPER[saga]
2017/01/31(火) 23:13:27.46 ID:ooGZg3gbo

「あの、先輩。ご存知ないんですか」

「・・・・・・何が?」

 会長は要領を得ないあたしの言葉に少しじれったく感じているようだった。

「優ちゃん、一昨日転校したんですよ。確か、東北の方に転校するって言ってました」

 何を言われているのかわからないという表情のまま会長は凍りついた。

「・・・・・・先輩は優ちゃんとお付き合いされているんで当然ご存知かと思っていました」

 あたしは会長を気遣い遠慮がちな小さな声を出した。つまりそういう演技をしたのだ。

 会長はしばらく沈黙していた。

「そうか」

 しばらくして会長は言った。

「君は何か事情を聞いているのか?」

「そんなに詳しくは知りませんけど。お父さんの仕事の都合で東北の中学に転校するとだ
けしか」

「優が転校する学校とか転校先の住所とか君は知っている?」

 会長は信じていた彼女に裏切られたからか余裕のない態度であたしの方を縋るように見
た。

「ごめんなさい、知らないんです」

 あたしは嘘をついた。

「まだ転居先とか決まってないんで学校も住むところもこれから決めるんですって。だか
ら先生にもわからないそうです」

「・・・・・・こんなことを聞いて悪いんだけど、君は優の携帯の番号とかメアドとか知って
る?」

「本当に会長のお役に立てなくてごめんなさい。あたし、そこまで優ちゃんとは仲良くな
くて」

「誰か優と仲がいい子とか知らないかな」

 あたしにも会長の必死さが伝わってきた。でもあたしはもう迷わなかった。決心してつ
いに踏み出してしまった今ではあたしは妙に頭の中が冷静だった。

「・・・・・・言いにくいんですけど、優ちゃんて本当に仲のいい子はいませんでした。だか
ら・・・・・優ちゃんの携番やメアドを知ってる子はいないと思います」

「・・・・・・そうか」

 二見さんに親友がいなかったことは事実だった。この時あたしが会長についた大嘘の中
にも真実のかけらはある。二見さんの携番やアドを知っている子がいないのは事実だった。
会長が心の中でどれだけ彼女を美化していたのかは知らないけど、会長が好きになり大切
にしていた 子は、本当はぼっちの女の子だったのだ。それだけは掛け値のない真実だっ
た。

 もうあたしを気にする余裕はないのだろう。会長はあたしに頭を下げると黙ってよろよ
ろと教室から出て行った。


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