417:名無しNIPPER[saga]
2017/01/31(火) 23:12:58.27 ID:ooGZg3gbo
「ふーん。そうなんだ。彼女、かわいそう」
あの子。
彼女。
さっき、しかたがないと割り切っていた会話が、再び別の意味を持ってあたしの心を蝕
み出した。
「先輩、なんであの子の告白断ったの?」
「僕は、君のことが好きだからね。副会長と付き合うなんて考えられないよ」
「ふーん。そうなんだ。彼女、かわいそう」
会長に振られたことは仕方がない。だけど、あの子とか、彼女かわいそうとか、二見さ
んはいったい何様のつもりだ。二見さんがあたしに対して無関心だというのなら、それで
もいい。でも、この短い会話をつなぎ合わせると、無関心かどうかはともかくあたしを格
下にみているとしか考えられない。そして、会長の気を引くための冗談半分のあたしへの
同情の言葉。
彼女、かわいそう。
ふざけるな。
その後のあたしは自分の憤りを抑えて普通に過ごした。会長には振られる前のとおり、
可愛らしいいい後輩として接した。二見さんとも、同じ教室でそれなりにおざなりな会話
くらいはできるようになった。優ちゃんって呼びかけることもした。そう呼ばれた彼女は
微妙な表情だったけど。ただ、彼女に微妙に見下されているような感覚は相変わらず続い
ていた。この時の彼女は、少なくともあたしのことを石井会長を争う恋のライバルだなん
て考えてもいないようだった。つまりあたしは、彼女にとっては単なる雑魚に過ぎないの
だ。
いずれにせよ、このままおとなしく屈辱感が癒えるのを待つ気はなかった。
あたしは方針を変えたのだ。ただ、具体的にどうしたらいいのかは全く分からなかった
けど、受験シーズンに入り会長たち先輩たちが引退するころになり、あたしは二見さんが
転校することを知った。遠距離になっても付き合うのか。それとも、あっさり別れるのか。
中学生の恋愛なんて、遠距離で続けられるようなものじゃない。あたしが、それを手伝っ
てあげよう。格下にみられて見下さてたあたしが。やがて、そのチャンスがやってきた。
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