女神
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405:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 23:35:18.61 ID:l/rfkXGJo

 こうして見るとこの三年生は会長や生徒会の人たちの仲間のようには見えなかった。ど
ちらかというと先輩の仲間のように見えたけど、それでもこの見知らぬ三年生は迷わず生
徒会長を助けたのだった。

 あたしは三年生にお礼を言ったけど彼はあたしのことはあまり気にしていないようで、会
長に大して怪我がないことを確かめると、じゃあなと会長に声をかけて行ってしまった。

 この時ようやく二見さんが会長に話しかけた。

「先輩、大丈夫?」

 彼女はあたしのクラスメートだったのだけど、この場にいるあたしには関心がないよう
だった。そして不思議なことに彼女は会長が倒れていたことにもあまり興味がない様子だ
ったのだ。

 その夜あたしはお風呂の中でずっと生徒会長のことを考えていた。

 先輩の一突きだけでよろよろと倒れた会長の姿は正直見るに耐えなかった。客観的に言
うと会長はあたしを助けようとしてくれたのだけど、結局あたしが先輩の手から逃れるこ
とができたのは見知らぬ三年生のおかげだ。

 でも。あたしは気がついた。あの三年生だって正義感に溢れているような人には見えな
かった。それでもあの場に介入してきたのは生徒会長を助けようとしたからだ。

 『会長には世話になったからな』

 そう彼は言っていたっけ。つまり会長個人は無力でも会長のためには力を貸そうという
知り合いが会長にはいるということだ。それはそれで一つのパワーだ。

 そして会長の持つその不思議なパワーの源はどこにあるのだろう。

 あたしはそれから二見さんのことを思い出した。彼女は殴り倒された生徒会長のことを
本気で心配しているようには見えなかった。それでも会長は彼女さんに惚れているらしい。
会長はいったい二見さんのどこが気に入っているのだろうか。

 ぶざまに倒れた生徒会長を目撃した日の夜、あたしは生徒会長のことを初めて本気で気
にするようになったのだった。そしてそれは恋愛感情ではなかったはずだった。

 恋愛感情ではないと思ってはいたけど、あたしらしくないことに翌日から会長と目を合
わせたり会長に話しかけられたりすると、あたしは今までのように活発で無邪気な後輩の
演技をすることができなくなってしまった。

 あたしは、会長の質問に赤くなったり目を逸らして下を向いてしまったりするようにな
ったのだ。

 いったいあたしはどうしたのだろう。これでは本当に恋する初心な女の子ではないか。

 あたしが男の興味を持った時は、そんな少女漫画のヒロインのような真似はしない。少
なくともこれまではそうだった。直接的な誘惑を仕掛けて相手の反応を見る。夕也君だけ
は例外だったけど、これまではそういう付き合い方しかしたことがなかったのだ。

 あたしはこの時自分でも自分の行動を理解できなかった。そしてあまりこういう状態が
続くと周りの生徒会役員の子たちに変に思われてしまうだろう。恋愛経験のない初心な女
の子と思われること自体はむしろ望むところだけど、その対象が会長だと思われるのはい
ろいろな意味でまずい。

 かと言ってこのことを相談できる相手は・・・・・・。

 あたしはため息をついた。タイプの全く違う姉妹だけど、やはりあたしにとっては一番
頼れるのはお姉ちゃんと妹友ちゃんだったのだ。


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