女神
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389:名無しNIPPER[saga]
2016/11/02(水) 21:51:56.55 ID:P+eNXBC9o

「そういえば前にね」

 私は思わず麻人の表情に引き込まれて、夕也の言葉を思い出した。

『最悪の場合さ、多分麻人と二見ってもう会えないことも考えられるんじゃねえかなと思
うんだ』

『・・・・・・いつかは噂だって収まるんじゃないの?』

『いろいろ腹は立つけどさ、二見って麻人のこと本当に好きだったのかもな』

『何でいきなりそんなことを・・・・・・』

『二見から麻人に何の連絡もないだろ? 普通なら電話とかメールとかしてくると思うん
だよな』

『ご両親にスマホとかパソコンとか取り上げられてるんじゃない?』

『それにしたって家電とか公衆電話とか手段はあるはずだよ。二見が麻人と接触を取らな
いのは、これ以上麻人を巻き込まないようにしてるんじゃねえかな』

『麻人のことを考えてわざと連絡しないようにしてるってこと?』

『何だかそんな気がする』

 私は麻人にそれを伝えようと思った。

「二見さんは君のことが本当に好きで、それでこの事件にこれ以上君を巻き込みたくなく
て姿を消したのかもね」

 麻人はそれを聞いても動じる様子はなかった。

「あいつは身バレしたから姿を消したんだよ。それは間違いない。でも俺に連絡さえしな
いのはそういうことかもしれないな」

 麻人も今までいろいろ考えていたようだった。

「本当にもう二度と会えねえのかなあ」

 麻人は無頓着そうに言ったけど、その表情は固かった。今度こそ私にはもう何も言えな
くなってしまった。

 麻人と私をただ寂寥感だけが包んでいた。それは私たちだけがこの場所に取り残された
ような感覚だった。

 そして今では私には麻人に対してできることは少なかった。

 たとえ麻人と二見さんを救おうという意思が私にあったとしても、それはもう不可能だ。
仮にこの悪意に満ちた出来事が誰によって何のために起こされたのかを明らかにすること
ができたとしても。

 ・・・・・・それでもせめて真相くらいは明らかにしよう。

 私は改めてそう考えた。それにより別に麻人も二見さんも救われはしない。協力してく
れている会長だって麻衣ちゃんとの仲が改善されるわけでもない。

 さらにそれは、私自身にとってはも別に何の前進ももたらさないだろう。それでもこの
閉塞感を打破するためには、何の前進にもならないかもしれないけど、あの時何が起きた
のかを解明する以外に道はなかったのだ。


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