女神
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368:名無しNIPPER[saga]
2016/09/27(火) 00:11:13.88 ID:JF3eK7aYo

 二見さんの女神行為が発覚した時、私たちはみなそれは自業自得だと思った。誰もがア
クセスすることができる掲示板で、不特定多数の人たちに自分のヌード画像を公開してい
た二見さん。彼女がいったい何のためにそんなことをしていたのか、その行為によってど
んな利益を得ていたのかはわからなかったけど、ただ純粋に高校生が裸を見せるという行
為だけでも、彼女が破滅に至るには充分な動機に思えたから。

 そして麻人はその巻き添えになったのだと私や麻衣ちゃんは考えていた。だから麻人ま
でが校内から悪意や好奇心に溢れた視線に晒されるようになった時、私は麻人を守ろうと
したのだった。

 でも、私が耳にしてしまった夕也と副会長の会話では、この一連の出来事は二見さんを
陥れることだけが目標ではなく、二見さんが陥し入られ姿を隠すことを余儀なくさせられ
ることによって、麻人と二見さんを別れさせることが真の目標だというようにも聞き取れ
た。要は麻人は巻き込まれただけではなく最初からターゲットだったのだ。それも多分、
夕也の仕業かも知れない。

 私が理解できなくて悩んでいたこと。それは、副会長とこの出来事への関わりが不明と
いうことがあったのだけど、副会長が唯さんとやらの姉で、その唯さんが中学時代に副会
長に失恋したのだとしたら、一応の筋は通る。それにしても、なぜ唯さんが二見さんや会
長に会いたがったのかはわからないけど。

「これは今改めて想像したことなんで証拠も何もないんだけど」

 会長が話を続けた。

「唯さんは僕が優と別れる気がないと知って、しつこくすることもなく身を引いた。そし
てその後も生徒会では普通に僕と話をしてくれていた」

「でも・・・・・・。僕は当時は優に夢中だったから全然気にしなかったのだけど、彼女にして
みれば随分酷いことをされたと思ってたとしても無理はないかもね。何しろ当時の僕は今
と一緒で、自分の彼女と過ごす方を優先して生徒会活動の方を後回しにしていたのだし」

 私はこんな深刻な話をしている時なのに笑いたくなった。結局しっかりしているように
見える会長は、二見さんの時も麻衣ちゃんの時も同じことを繰り返しているのだ。会長の
麻衣ちゃんに対する愛情はどうやら嘘ではないようだった。そしてこの人が人を愛する時
にはここまで全身で愛するということが、中学時代から変っていなかったとしたら、唯さ
んもさぞかし一緒に活動していて辛かっただろう。

「もう一つ久し振りに思い出したことがある。それは僕が高校に合格したことを報告しに
母校に行った時のことなんだけど」

「はい」

「その日、二年生の教室には優はもういなかった。二日前に東北の方に転校していたんだ。
僕には何も知らせず別れさえ告げずにね」

 ではこの人も相当辛い経験をしていたのか。私は思いがけない展開に驚いた。会長の中
では中学時代の二見さんとの恋愛は、もう昔話になっているのかと思っていたのだけど、
ここまで辛い経験をしたらそれが会長のトラウマになっていたとしても不思議ではなかっ
た。

 私は自分の中で何となく会長を謎解きの味方のように考えていた気持ちを修正した。こ
ういう辛い経験をした人なら、久し振りに再開した二見さんを陥とし入れようと考えても
不思議はないだろう。


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