360:名無しNIPPER[saga]
2016/09/05(月) 22:45:55.25 ID:WlGCXGIKo
とにかく私は、鈴木先生に二見さんの女神行為を知らせた犯人を突き止めたのだった。
それは会長だった。その行為は麻人をここまで苦しめているのだから、その実行犯である
会長に憎しみを感じてもいいはずだったのだけど、驚きのあまり感情までが麻痺して機能
しなくなったせいか憎しみや嫌悪よりは、このことの持つ意味が理解できないもどかしさ
だけが私の脳裏を閉めていたのだった。
「意味がわかりません」
私は震える声で聞き返した。
「何で先輩がそんなことをする必要があったんですか? それにそれだけのことをしてお
いて、麻人と二見さんを追い詰めたのは自分じゃないってどういうことなんです?」
「ちゃんと話すよ。迷惑かもしれないけど聞いてくれるか」
会長の顔は青かったけど、もう口調は大分落ち着いてきていた。
「僕が二見 優・・・・・・さんと付き合っていたことは事実だ。そして祐子さんを振ったこと
も事実なんだ」
「そして、二見さんが僕には何も言わずに転校して僕の初恋は終った。正直に言うと僕は
そのことに悩んでいた。でも麻衣ちゃんがパソ部に入ってきて僕に悩みを打ち明けてき
て」
「麻衣ちゃんが先輩に?」
「うん。彼女は池山君から卒業しようとしていたんだ。ただ、彼女は池山君の相手の優さ
んが女神行為をしていることに気がついてしまった」
「彼女は悩んでいた。そして僕自身も優さんの女神行為のことを知って悩んだ。あいつは
何をしているんだ、僕と付き合っていたらそんな破廉恥なことをして自己実現する必要も
なかったのにってね」
会長の話は途中に飛躍もありわかりやすいものではなかったけど、私は何とか会長の話
について行った。麻衣ちゃんが大好きな麻人の彼女に対して求める水準を考えると、女神
行為をしているような女の子は論外だったのだろう。私は考え違いをしていた。麻衣ちゃ
んが部活に入ったのは兄離れをするためだと思い込んでいたのだ。でも彼女はそんな単純
な理由だけではなく、麻人にはふさわしくない二見さんと麻人の関係を何とかしようとし
てパソコン部のドアを叩いたらしかった。
麻衣ちゃんは何を望んでいたのだろう。麻人と二見さんを別れさせて、自分は兄離れを
する。そして一人になった麻人に私をくっつけようとしたのだろうか。
『お姉ちゃん・・・・・・』
『もうあまりあたしのことは甘やかさなくていいよ』
『お姉ちゃんももう自分に素直になって』
『でないと本当に二見先輩にお兄ちゃんを盗られちゃうかもよ』
私は前に麻衣ちゃんに言われた言葉を思い返した。
468Res/896.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20