女神
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358:名無しNIPPER[saga]
2016/09/05(月) 22:44:54.33 ID:WlGCXGIKo

 会長がそう言った。会長にとっては過去の亡霊が再び現われたように感じて狼狽したの
かもしれないけど、今、私が探らなければいけないのは中学時代の会長の恋愛模様とかで
はなくて、麻人と二見さんに起きたことの真実だったのだ。だから正直に言って、今の私
には混乱した会長の心の整理に付き合っている余裕はなかった。でもその後に続く会長の
話を聞いたとき私は凍りついた。

「でも僕は祐子さんの告白を断った。その時にはもう、僕には優がいたから」

 僕には優がいた? ではあの二見優さんと会長には過去に接点があったのだ。そればか
りか副会長の妹だという唯さんの告白を断る理由が、二見さんだったと会長は言った。そ
れは中学時代の会長と二見さんは恋人同士だったということか。一瞬、私は混乱したけど
次の会長の説明で疑問は完璧に氷解した。

「多分君の考えているとおりだよ。僕は優と中学時代付き合っていた。池山君の彼女の
優・・・・・・さん、と」

 会長はそこで取ってつけたようにさんづけをした。多分、二見さんのことを呼び捨てで
呼ぶことに慣れていたのだろう。

「僕と優さんは彼女が中学二年の終わりに転校するまで付き合っていたのだけど、彼女が
突然転校したせいで自然消滅みたいになってね」

 それでは私が聞いたあの会話の謎の一端がほどけたのだ。過去に副会長の妹さんと石井
会長には因縁が、少なくとも何らかの交渉があったのだ。それが二見さんを陥れた動機な
のかどうかは、まだわからないけど。

「・・・・・・でも何でそんなことを私に話すんですか? だいたい、麻衣ちゃんはそれを知っ
ているんですか?」

 これは大切なことだった。麻衣ちゃんにとっては二見さんは自分から麻人を奪っていっ
た女だった。その二見さんが、今麻衣ちゃんが付き合っている石井会長の元カノだと知っ
たらどう考えるだろう。そして先輩がわざわざ私を生徒会室から連れ出したのは、麻衣ち
ゃんへのフォローを期待したからなのだろうか。


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