女神
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349:名無しNIPPER[saga]
2016/08/18(木) 22:40:04.63 ID:IwnlMYSho

「しようがないなあ。付き合ってやるか」

 私は笑ってパソコンのディスプレイを眺めた。私は祐子ちゃんと二人で気楽にお喋りし
ながらも何とか学園祭のスケジュールチェックを終えた。ところが、気楽に見始めたはず
のデータには、つまり祐子ちゃんが組んだスケジュールには致命的なミスがあった。展示
や模擬店はともかくイベントのスケジュールがあっちこっちで時間が重複していたため、
その修正には大分苦労した。

「会場や器材が被ってなくてもさ」

 私は飽きれて祐子ちゃんに言った。

「実行委員の人数は有限なんだから。こんだけイベントを重ねちゃったらスタッフが足り
なくなっちゃうじゃん」

「そういやそうか。場所とか出演者が違うから大丈夫だと思ってたよ」

 祐子ちゃんが悪びれずに言った。

 こういう細かいところに今年の学園祭の準備の荒さが出ていた。去年はこういう初歩的
な間違いは事前に生徒会長がことごとく潰してくれていたため、本番はすごくスムーズだ
った。副会長は会長不在の中で頑張ってくれてはいたけど、会長の組織化能力やイベント
の進行管理能力はやはり別格だった。その先輩がいないだけで既にこういう綻びが見えて
いる。

「これはやり直しだな」

 私は言った。

「え〜。最初から全部?」

 祐子ちゃんはそこでいかにも嫌そうな表情を見せた。

「重なるところだけ時間を離せばいいじゃん」

「それで直るならそれでもいいよ。でもイベントを重ならないように最初から時間を直し
て行くと、最後のイベントはきっと夜中の開始になるよ」

 私は素っ気無く言った。

「時間の無駄だから最初から組みなおそう。文句言われるかもしれないけど、少しづつ各
部のイベントに割り当てていた時間を削るしかないよ」

「それって文句言われない? 特にコンサート系のクラブから」

「言われるかもしれないけどこのままじゃ成り立たないんだからしょうがないじゃん」

「割り当て時間はもう各サークルに伝えちゃってあるからさ。時間を削ったら苦情が来る
んじゃない? 軽音の先輩とかって怖いし」

「それでもそうするしかないでしょ。他に手段があるの?」

「・・・・・・ない」

 結局、祐子ちゃんは不承不承イベント系サークルへの時間の割り当てのやり直し作業に
取り掛かったのだった。

 翌日の放課後、相変わらず元気がなく無口な麻人に別れを告げた後、私は再び生徒会室
に向った。

 今日こそは勇気を出して副会長とお話ししなければならない。そのことを考えるとスト
レスから私は胃に鈍い痛みを感じた。その痛みは午前中から私を襲っていて、そのためお
昼ご飯をほとんど口に入れることができなかった。これでは相変わらず食欲がないらしい
麻人に対して、もっと食べるように叱ることすらできなかった。


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