348:名無しNIPPER[saga]
2016/08/18(木) 22:39:32.61 ID:IwnlMYSho
「先輩の妹さん、あ、別の学校に通っている唯ちゃんっていうの? さっき先輩を迎えに
来ててさ、初めて見たけどすごく可愛いいの。そのあとすぐに倒れちゃったんだけどさ。
あたしたちと同い年なんだけどね」
他の学校に通っているという先輩の妹さんが、ここに顔を出していたようだったけど、
突然具合が悪くなったという話らしかったけど、私はもう頭を切り替えていた。
先輩に真実を問い質すことができない以上、私は今日はおとなしく学園祭の準備をする
ことしかできないだろう。私はこれまで実務担当ではなく生徒会長不在の状態で、学園祭
準備の全体指揮を執る副会長のアシスタントのような役割を果たしていたのだった。本当
は副会長がアクシデントで不在な以上、私が代わって指揮するべきなのかもしれないけど、
私が見たところでは事態はそこまで追い詰められている状態ではなかった。二、三日は指
揮者不在でもすべきことはあるようで、副会長が不在で本当に困るのはまだ数日先のよう
だと私は思った。
なので今日は私にはすることは何もないと判断した。私的な用件の方は今日は何もでき
ない。生徒会役員としてもまだ私が副会長先輩の替わりにでしゃばるようなところまで事
態は切迫していなかった。
「じゃあとりあえず今日は先輩に指示されたことをやるしかないね」
私は祐子ちゃんに言った。
「うん。もうみんなそうしてるよ」
「じゃあ、私は今日はやることないなあ」
「何言ってるのよ」
祐子ちゃんが言った。
「副会長がいないからってサボろうとするなよ」
「そんなつもりはないけどさ」
正直に言うとそういうつもりは少しはあった。事態が進展せず、しかも学園祭の準備に
も寄与できない状態なら、今頃教室を出て一人で悩みながら帰宅しようとしている麻人に
寄り添って彼と一緒に帰ろうかという気を私は起こしていていたのだ。でも、祐子ちゃん
は私を離すつもりはないようだった。
「スケジュールのチェック一緒にしようぜ。一人でパソコン睨んでるの飽きちゃったよ」
祐子ちゃんは私に言った。
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