347:名無しNIPPER[saga]
2016/08/18(木) 22:38:42.46 ID:IwnlMYSho
「副会長は?」
私は彼女に聞いた。学園祭を直前にして副会長がこの場にいないのはおかしい。本当は
生徒会長がこの場にいて陣頭指揮をとっていなければいけないのだ。
でも、副会長さえもがいないなんて。
「浅井長先輩は今日は放課後の活動はお休みだって」
書記の祐子ちゃんが言った。
「何か妹さんが急病とかでさ。今日は帰らなきゃいけないんだって」
「そうなんだ」
私は先輩から真実を聞く機会が遠ざかったことを知った。残念な気持ちとほっとした気
持ちが交錯していた。
「じゃあ今日は先輩抜きで作業だね」
「うん」
「副会長の妹さんって大丈夫なの?」
「別に命に別状があるとかじゃないみたい」
「そうか、よかった。でも浅井先輩がいないと・・・・・・」
「そうなのよ。先輩がいないとわからないことだらけでさ」
祐子ちゃんの愚痴を聞きながら。私は今日はどうしようかと考えていた。本来なら学園
祭の準備に総指揮を執るのは学園祭の実行委員長を兼ねている生徒会長だったけど、今は
会長は良くも悪くも麻衣ちゃんのことだけしか頭にない状況だった。そんな中で会長の替
わりに学園祭の指揮を執っていたのが副会長だったのだ。私はその副会長の補佐役だった
から、副会長がいないと途方にくれるだけでいったい自分が今日何をしていいのかもわか
らなかった。
「今日お昼ごろに、ほかの学校に通っている先輩の妹さんが具合が悪くなってさ」
祐子ちゃんが言った。
「そうか」
「うん。本当にびっくりだよ」
「そう・・・・・・。それでその妹さんってどうしたの」
「よく知らないけど貧血で倒れちゃったみたいね。副会長、さっき一度ここに来てさ。こ
れから病院に行くけど心配はいらないからって言ってた」
「そうなの」
私は副会長の妹さんのことは気の毒ではあったけど、それよりも先輩の妹さんの病気に
よって私が先輩に問いただそうと思っていたことが延期になったとこの方がより気になっ
ていた。積極的な意味でも消極的ないみでも。
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