女神
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34:名無しNIPPER[saga]
2015/12/16(水) 00:28:09.73 ID:OtBfvlRMo

「あんたら前の車両に移動しなさい」

 有希の突然の命令に、俺もそうだけど夕也も面食らったようだった。

「え? 何でだよ」

 夕也が有希に言った。有希は黙って夕也を睨んだ。

「お、おう。何だか前の車両に移りたい気分になってきたぜ」

 夕也の言葉に今度は俺の方が驚いた。

「何で?」

 有希が俺を睨むと、夕也が俺を催促した。

「ほら行くぞ麻人。さっさと移動しようぜ」

「おい、ちょっと待てって・・・・・・気持ち悪いな。手を引っ張るなよ夕也」

 麻衣と有希と別れて隣の車両に移ると、夕也が俺を問い詰めだした。

「で? 今度はいったい何をやらかしたんだよおまえは」

「何って・・・・・・何もしてねえよ」

「嘘付け。何もなくて俺たちが隣の車両に追い出されるようなことになるわけねえだろ」

「本当だって」

「麻衣ちゃんって何か悩みがあったぽいよな」

「知らねえって」

 思い当たるのは二見のことだけだ。あれが麻衣の不機嫌とか悩みの原因だとすると、俺
にとっては冤罪としかいいようがない。

「じゃあ、何で麻衣ちゃんがあんなに悩んで、有希もあんなにそれを真剣に受け止めてた
んだよ」

「だから本当に知らねえんだって」

「おまえ、何か思い当たることがあるだろ」

「うーん」

 おまえはテレパスかよ。

「白状すれば楽になるぞ」

「まあ、勘違いかもしれないけどさ」

 俺はしぶしぶと口を割った。

「もったいぶらずにさっさと話せ」

「昨日妹とスーパーで買い物してた時に、同じクラスの二見と会ってさ」

「二見って。ああ、あのぼっちの子ね。ちょっと可愛いよな」

「まあ確かに可愛いんだけどさ。暗くね? あいつ」

「だからいつもぼっちなんだろ」

「そんでスーパーであいつが財布落としたんで拾ってやったんだけどよ」

「うん」

「そしたらあいつ」


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