女神
1- 20
35:名無しNIPPER[saga]
2015/12/16(水) 00:28:38.58 ID:OtBfvlRMo

「ほう。あの可愛い二見がおまえのともっと仲良くなりたいと言ったわけだ。いいなあ、
おまえ」

 夕也が俺をからかうように軽口を叩いた。

「ボッチだとか言ってたくせに。それにそうじゃねえよ。普通に学校で話しかけてもいい
かって聞かれただけだろうが」

「そんなこと一々確認する女なんていねえよ。わざわざそんなことを言うのには訳がある
んだよ」

「訳って何だよ」

「おまえに意識させたいんだろ? 自分のことを」

「考えすぎだろ? それって」

「ああ、いいよなあ。持てる男はよ。実の妹なのに麻衣ちゃんからはヤンデレ気味なほど
愛されているのに、今度はクラスの謎の美少女から好意を寄せられるなんてよ」

 こいつ本気でむかつく。おまえにだけは言われたくない。そう思った言葉が思わず口に
出てしまったようだ。

「おまえにだけは言われたくねえよ」

「え? 何で」

「うるせえな。何でもねえよ」

「おまえ何勝手に切れてんだよ。訳わかんねえよ」

「おい駅に着いたぞ。早く降りようぜ」

「誤魔化しやがった、こいつ」



 少なくとも夕也のせいではない。本当は自分でもわかっていたのだ。俺と有希が恋人同
士の間柄なら、夕也は、この友情に厚いこいつならきっと俺と有希の間に割り込もうなん
て思わなかっただろう。夕也が現れるまで、俺と有希は仲がいい幼馴染ではあったけど、
そして俺の方は有希のことが大好きだったけど、客観的に見れば俺と有希は単なる幼馴染
であって、恋人同士でも何でもない。だから、そこに現れた夕也に有希の心を持っていか
れたとしても、それは夕也が卑怯だとか卑劣だとかということはできない。同時に有希が
夕也のことを好きになったとしても、それは俺に対する裏切りではない。俺は有希に告白
すらしたことがなかったのだから。

 夕也が俺たち三人の関係に入り込んでくる前に、俺が有希に告白していたとしたら。有
希は俺の気持ちに応えてくれていたのだろうか。それは今となっては考えることすらむな
しい想像だった。とにかく、今の有希が夕也を好きなことは誰の目にも明らかだった。夕
也の方も。つまり二人が結ばれるのはもう時間の問題なのだ。

「どうした? 何考え込んでるんだよおまえ」

 俺の気持ちを知らない夕也が不審そうに問いかけた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
468Res/896.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice