298:名無しNIPPER[saga]
2016/07/07(木) 23:54:00.33 ID:EmRkc2/So
「あ、お姉ちゃんおはよう」
「麻衣ちゃんおはよう」
「よ、よう」
俺はかろうじてそう言った。
「・・・・・・ようじゃないでしょ。やりなおし」
有希がまるで今まで何もなかったように、かつての俺に注意していた頃のように言った。
「お、おはよ」
「おはよう麻人」
優が優しく微笑んだ。
「夕さんおはようございます」
有希と一緒に電車内に乗り込んできた夕也に対して麻衣があいさつした。
「おはよう麻衣ちゃん」
それで、俺たち四人には沈黙が訪れてしまった。
「あんたたちさあ」
有希が俺たちをにらんだ。
「二人ともあいさつくらいしたら?」
麻衣も追い打ちをかけるように言った。
「そうだよ」
「・・・・・・よ、よう」
「・・・・・・お、おう」
「あんたたちはまた・・・・・・ちゃんとあいさつしなよ」
「まあいいじゃん、お姉ちゃん。照れ屋の男の人なりの精一杯のあいさつなんだよ、きっ
と」
有希は俺たちをにらんでいた表情を緩めて少しだけ笑ったようだった。
教室内に入ると、同級生の女の子たちが珍しく俺に話しかけてきた。これまでは、親し
げな素振りさえ見せなかったくせに。
「おはよ」
「おう」
「有希おはよう」
うん? 今のは俺に対してのあいさつじゃないのか。
「広橋君おはよ」
「・・・・・・おはよ」
有希が応えた。
「おはよう」
夕也も応じた。
俺に対してのあいさつはない。こいつら俺のことは無視するのか。何なんだ。昨日の朝
は優の休みのことを気にしてたくせに。まさか。
まさか、優が停学だってばれたのか? いや、そんな訳はない。このことは学校側から
は公表されてはいないのだ。生徒で優の事情を察しているのは、妹と夕也だけのはずだ。
じゃあ、いったい何んでこいつら俺のこと無視してるいんだろう。
考えすぎなんだろうな。俺はそう思った。たまたま俺に声かけなかっただけだ。単なる
偶然だ。
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