女神
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272:名無しNIPPER[saga]
2016/06/07(火) 00:25:16.82 ID:vAalNZ3Lo

『直前のセッションが強制的に終了されました。セッションを復元しますか?』



 なんだ、これ。どうもブラウザを終了させる前にパソコンを強制終了すると出てくるメ
ッセージらしいなと俺は考えた。この種のパソコンやネットで疑問がある時に、今までは
夕也を頼っていたのだけど、今ではそういうわけにもいかない。俺はとりあえず「はい」
をクリックした。少しの間があって、ブラウザは強制終了される直前に表示していた画面
をゆっくりと表示し始めた。



【貧乳女神も】華奢でスレンダーな女神がうpしてくれるスレ【大歓迎】



 え? 俺は目を疑った。確かにこのスレは優と知り合って以来よく見るスレだけど、こ
のスレを開きっぱなしでこのパソコンを強制終了した記憶はなかった。それに最近ではこ
のパソコンでは、優の画像をいじるだけで、ここでは女神スレは見ないようにしていた。
携帯の画面で画像を閲覧するのは厳しいのだけど、自分の彼女の秘密を扱っている以上、
こんな家族共用のパソコンでは危険は冒せないと判断したからだ。パソ関係に疎い俺でも
閲覧したサイトのキャッシュがパソコンに残ってしまうくらいは知っている。だから、最
近では自室で携帯でしか女神は見ていなかったはずなのだ。

 まさか妹が? 妹には急いでパソコンを終了する時にいきなり電源をオフにする悪い癖
がある。何度も注意したのだけど、妹に言わせると今までこれで一度もパソコンが壊れた
ことはないよ、とのことだった。あいつが、妹が俺が以前閲覧したキャッシュを辿って優
の女神行為を発見したのだろうか。優は個人情報は一切晒していないけど、親しい人間が
目に線を入れて隠しただけだけの彼女の画像を見れば、それが優だと気がつくのはそんな
に難しいことではない。俺は狼狽した。

 よく考えれば、画像は即デリされるのだし、たとえ妹がこのスレを後から見ても画像は
見られない。画像さえなければモモが優だとは気がつかないだろう。それでも可能性が少
しでもある以上、これを見過ごすわけにはいかなかった。

 しばらく混乱した思考を続けた結果、俺が辿りついた結論は妹に正直に聞くということ
だった。どんなに軽蔑されても怒られてもいい、とにかく優を守ることが最優先だった。
優は俺を信頼して女神行為のことを明かしてくれたのだ。それが、俺のせいで女神行為の
ことがバレることがあってはならなかった。俺は妹に電話した。でも、妹が電話に出ることは
なかった。

 翌朝、俺はリビングのソファの上で目を覚ました。一瞬、なんでこんなところにいるの
かわからなかったけど、すぐに自分が麻衣の帰宅を待っている間に寝入ってしまったこと
を理解した。これでは、昨夜リビングで粘っていた意味がまるでない。毛布が掛けられて
いるので、妹は俺が寝てしまったあとで帰宅したのだろう。とにかく妹に女神スレのこと、
聞かないといけない。体を起こして壁の時計を眺めるともう七時四十五分だ。これでは遅
刻しそうだ。とりあえずリビングには麻衣の姿はない。念のため麻衣の部屋を確かめたけ
ど、やはり妹の姿はない。それはそうだ。こんな遅い時間に家にいるわけはないじゃない
か。

 とりあえず学校に行こう。これではもう優との待ち合わせ時間に、間に合わない。俺は
携帯をチェックしたけど、優からはメッセージも着信もない。とにかく学校に行って、麻
衣をつかまえよう。幸か不幸か俺は制服のまま寝てしまっていたから、すぐにでも家を出
られる。今朝は歯磨きも洗顔も省略だ。

 自宅前の最寄り駅まで来ても、優の姿はなかった。そりゃそうだ。いつもより三十分以
上も遅刻しているのだ。次の電車に乗らないと完全に遅刻だ。この電車って、昔、優がよ
く乗ってた時間の電車だった。これに乗ればぎりぎり遅刻しないで済む。駅から教室まで
はダッシュする必要はあるのだけど。


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